1. シンデレラしんでれら(アシュプッテル)

    Cinderella (Ashputtel)

  2. ある金持ちかねもちの男おとこの妻つまが病気びょうきになり、自分じぶんの死しが近づいちかづいているのを感じかんじたとき、彼女かのじょは一人娘ひとりむすめをベッドべっどの脇わきに呼び寄せよびよせて言いいいました。近づいているちかづいている感じたかんじた言いましたいいました

    When the wife of a certain rich man fell ill and felt that her death was drawing near, she called her only daughter to her bedside and said:

  3. 「いつもよい子こでいなさい。そうすれば、私わたしは天国てんごくからあなたを見守りみまもり、保護ほごしてあげますからね。」いなさいしてあげます

    "Always be a good child, and then I shall look down upon you from Heaven and protect you."

  4. それから間もなくまもなく、彼女かのじょは目めを閉じとじて息いきを引き取りひきとり、庭にわに埋めうめられました。埋められましたうめられました

    Soon after, she closed her eyes and breathed her last, and was buried in the garden.

  5. 小さなちいさな少女しょうじょは毎日まいにち母ははの墓はかへ行っいって泣きなき、周囲しゅういの人々ひとびとに対してにたいしていつでも良くよく親切しんせつに接しせっしました。毎日母まいにちはは行っていって接しましたせっしました

    Every day the little girl went to her mother's grave and wept, and she was ever good and kind toward the people around her.

  6. やがて雪ゆきが降りふり、墓はかの上うえに美しいうつくしい白いしろい覆いおおいを広げひろげました。広げましたひろげました

    By and by snow fell and spread a beautiful white coverlet over the grave.

  7. しかし春はるが来きて、太陽たいようが再びふたたびそれを溶かすとかす頃ころには、父親ちちおやは別べつの女性じょせいと再婚さいこんしていました。していました

    Yet by the time spring came and the sun melted it once more, the father had remarried another woman.

  8. この新しいあたらしい妻つまには二に人にんの娘むすめがおり、家いえへ一緒いっしょに連れつれてきました。二人ににん連れてきましたつれてきました

    This new wife had two daughters, whom she brought into the house with her.

  9. 彼女かのじょたちは顔立ちかおだちは綺麗きれいでしたが、心こころは醜くみにくく、貧しいまずしい小さなちいさな少女しょうじょにとって惨めみじめな日々ひびが始まりはじまりました。彼女たちかのじょたちでした始まりましたはじまりました

    Though they were fair of face, their hearts were ugly, and a miserable time began for the poor little girl.

  10. 「役立たやくだたずが広間ひろまで何なにをしているの?」役立たずやくだたずしている

    "What is that useless creature doing in the parlor?"

  11. と彼女かのじょたちは言いいいました。彼女たちかのじょたち言いましたいいました

    said they.

  12. 「パンぱんを食べたべたい者ものは、まず働いはたらいて稼ぐかせぐべきよ。台所だいどころ女中じょちゅうに出でて行っいってもらいましょう!」食べたいたべたい台所女中だいどころじょちゅう出て行ってもらいましょうでていってもらいましょう

    "Whoever wishes to eat bread must first work to earn it; let our kitchen maid go out!"

  13. それから彼女かのじょたちは少女しょうじょの立派りっぱな服ふくを取り上げとりあげ、古いふるい灰色はいいろのワンピースわんぴいすを着せきせ、あざ笑っあざわらって台所だいどころへと追い払いおいはらいました。彼女たちかのじょたちあざ笑ってあざわらって追い払いましたおいはらいました

    Thereupon they took away the girl's fine clothes, put an old gray frock upon her, and mockingly drove her away to the kitchen.

  14. そこでは彼女かのじょは厳しいきびしい労働ろうどうを強いしいられました。そこで強いられましたしいられました

    There she was forced to perform heavy labor.

  15. 夜明けよあけ前まえに早起きはやおきし、水みずを汲みくみ、火ひを起こしおこし、料理りょうりや洗濯せんたくをしなければなりませんでした。夜明け前よあけまえませんでした

    She had to rise early before dawn, fetch water, light fires, cook, and wash.

  16. それだけでなく、異母いぼ姉たちあねたちはあらゆる方法ほうほうで彼女かのじょを苦しめくるしめ、笑いものわらいものにしました。だけでなく異母姉たちいぼあねたちしました

    Not only that, but her stepsisters tormented her in every way and made a laughingstock of her.

  17. 夕方ゆうがたになり疲れつかれ果てはてても、横よこになるベッドべっどはなく、暖炉だんろのそばの灰はいの中なかに寝かさねかされました。寝かされましたねかされました

    When evening came and she was exhausted, there was no bed for her to lie upon, but she was made to sleep in the ashes beside the hearth.

  18. そのため、当然とうぜんのことながら彼女かのじょはいつも埃ほこりっぽく汚れよごれていたので、彼女たちは少女しょうじょを「アシュプッテル(灰はいかぶり)」と呼びよびました。埃っぽくほこりっぽく汚れていたよごれていた彼女たちかのじょたち呼びましたよびました

    For that reason, as she was naturally always dusty and dirty, they called the girl "Ashputtel (Cinderella)."

  19. あるとき、父親ちちおやが市し(いち)へ出かけるでかけることになり、妻つまの娘むすめたちに何なにを買っかってきてほしいか尋ねたずねました。娘たちむすめたち買ってきかってき尋ねましたたずねました

    Once upon a time, the father was about to go to the fair, and he asked his wife's daughters what they wished him to bring back for them.

  20. 「きれいな服ふくを」と一いち人にんが言いいいました。一人いちにん言いましたいいました

    "Beautiful dresses," said the one.

  21. 「真珠しんじゅとダイヤモンドだいやもんどを」と二に人にんが叫びさけびました。二人ににん叫びましたさけびました

    "Pearls and diamonds," cried the other.

  22. 「さて、お前おまえは何なにがほしいかい?」

    "And what about you, what do you wish for?"

  23. と彼かれは自分じぶんの娘むすめに尋ねたずねました。尋ねましたたずねました

    asked he of his own daughter.

  24. 「お父様とうさま、お帰りかえりの道みちで、帽子ぼうしに最初さいしょに触れふれた一筋ひとすじの小しょう枝えだをください」と少女しょうじょは答えこたえました。お父様おとうさまお帰りおかえり触れたふれた小枝しょうえだ答えましたこたえました

    "Father, on your way home, please give me the first twig that brushes against your hat," answered the girl.

  25. そこで父親ちちおやは、上うえの二に人にんには頼またのまれたきれいな服ふくと真珠しんじゅとダイヤモンドだいやもんどを買いかいました。二人ににん頼まれたたのまれた買いましたかいました

    Thereupon the father bought for the two elder sisters the fine clothes, pearls, and diamonds they had asked for.

  26. そして家いえへ戻るもどる途中とちゅう、青々あおあおとした木立こだちを馬うまで通っとおったとき、ハシバミはしばみの小しょう枝えだが彼かれに触れふれ、帽子ぼうしを落としおとしそうになりました。した通ったとおった小枝しょうえだなりました

    And on his way home, as he rode through a verdant thicket, a hazel twig brushed against him and almost knocked off his hat.

  27. そこで彼かれはそれを折りおり取っとって持ち帰りもちかえりました。取ってとって持ち帰りましたもちかえりました

    Thereupon he broke it off and took it home with him.

  28. 家いえに着くつくと、彼かれはそれを娘むすめに与えあたえました。与えましたあたえました

    When he arrived home, he gave it to his daughter.

  29. 少女しょうじょはそれを受け取るうけとると、母ははの墓はかへ行っいって植えうえました。行っていって植えましたうえました

    The girl received it, went to her mother's grave, and planted it.

  30. そしてあまりに深くふかく泣いないたため、その涙なみだで枝えだに水みずが注がそそがれました。泣いたないた注がれましたそそがれました

    And so deeply did she weep that the twig was watered with her tears.

  31. やがて枝えだは成長せいちょうし、立派りっぱな木きになりました。なりました

    In time the twig grew and became a splendid tree.

  32. 日ひに三さん度ど、少女しょうじょはその場所ばしょへ行っいって泣きなきました。三度さんど行っていって泣きましたなきました

    Three times a day, the girl went to that spot and wept.

  33. すると間もなくまもなく小さなちいさな鳥とりがやってきて木きに巣すを作りつくり、少女しょうじょに語りかけかたりかけ、見守りみまもり、彼女かのじょが望むのぞむものを何なにでも運んはこんできてくれるようになりました。運んできてくれるようはこんできてくれるようなりました

    Then before long, a little bird came, built a nest in the tree, spoke to the girl, watched over her, and came to bring her whatever she wished for.

  34. さて、その国くにの王様おうさまが三さん日間にちかんにわたる宴うたげを開くひらくことになりました。三日間さんにちかんなりました

    Now, the king of that land came to hold a feast lasting three days.

  35. そこへ集まっあつまった者ものの中なかから、王子おうじが自分じぶんの花嫁はなよめを選ぶえらぶことになっていたのです。集まったあつまったなっていた

    From among those gathered there, the prince was to choose his bride.

  36. アシュプッテルの二に人にんの姉あねも招待しょうたいされたので、彼女かのじょたちはアシュプッテルを呼び出しよびだして言いいいました。二人ににんされた彼女たちかのじょたち言いましたいいました

    As Ashputtel's two sisters were also invited, they called Ashputtel forth and said:

  37. 「さあ、髪かみをかしで、靴くつを磨いみがいて、帯おびを結んむすんでちょうだい。王様おうさまの宴うたげで踊るおどるのだから。」結んでむすんでのだ

    "Come, comb our hair, polish our shoes, and tie our sashes; for we are to dance at the king's feast."

  38. アシュプッテルは言わいわれた通りとおりにしましたが、すべてが終わるおわると泣かなかずにはいられませんでした。言われたいわれたしました泣かずなかずはいられませんでした

    Ashputtel did as she was told, but when all was done, she could not help but weep.

  39. 自分じぶんも彼女かのじょたちと一緒いっしょに舞踏ぶとう会かいに行きいきたかったからです。彼女たちかのじょたち舞踏会ぶとうかいたかった

    For she too wished to go to the ball together with them.

  40. 彼女かのじょはついに、行かいかせてくれるよう継母けいぼに強くつよくお願いおねがいしました。行かせてくれるよう継母いかせてくれるようけいぼしました

    At last, she earnestly begged her stepmother to let her go.

  41. 「お前おまえがかい、アシュプッテル!」

    "You, Ashputtel?"

  42. と継母けいぼは言いいいました。言いましたいいました

    said the stepmother.

  43. 「着るきる服ふくも、何なにも持っもっておらず、踊りおどりさえできないお前おまえが舞踏ぶとう会かいに行きいきたいだって?」持っておらずもっておらずできない舞踏会ぶとうかい行きたいいきたい

    "You, who have no clothes to wear, who have nothing, and who cannot even dance—you wish to go to the ball?"

  44. そして少女しょうじょが頼みたのみ続けるつづけると、継母けいぼはついに彼女かのじょを諦めあきらめさせるために言いいいました。頼み続けるたのみつづける諦めさせるあきらめさせる言いましたいいました

    And as the girl kept begging, the stepmother finally said, in order to make her give up:

  45. 「この皿さらいっぱいのエンドウえんどう豆まめを灰はいの山やまに投げ入れるなげいれるから、二に時間じかん以内いないにそれをすべて拾いひろい集めあつめられたら、お前おまえも宴うたげに行かいかせてあげましょう。」皿いっぱいさらいっぱいエンドウ豆えんどうまめ二時間以内にじかんいない集められあつめられ行かせてあげましょういかせてあげましょう

    "I shall throw this dishful of peas into the ash heap, so if you can gather them all up within two hours, I shall let you go to the feast too."

  46. 継母けいぼは灰はいの中なかにエンドウえんどう豆まめを投げ捨てなげすてました。エンドウ豆えんどうまめ投げ捨てましたなげすてました

    The stepmother threw the peas into the ashes.

  47. しかし、少女しょうじょは勝手口かってぐちから庭にわへ走り出はしりでて、叫びさけびました。叫びましたさけびました

    However, the girl ran out through the back door into the garden and cried:

  48. 「おいで、おいで、空そらを越えこえて、キジバトきじばと、ヒワひわよ、飛んとんでおいで!クロくろツグミつぐみ、ウタツグミ、陽気ようきなズアオアトリ、おいで、おいで、急いいそいでおいで!みんな来きて私わたしを助けたすけて、早くはやく!急いで、急いで!つついて、つつきて、拾いひろい集めあつめて!」飛んでとんでクロツグミくろつぐみ

    "Come, come, across the sky, turtle-doves, siskins, fly hither! Blackbirds, song thrushes, merry chaffinches, come, come, hasten hither! Everyone come and help me, quick! Hurry, hurry! Peck away, peck away, gather them up!"

  49. すると最初さいしょに、二に羽わの白いしろいハトはとが台所だいどころの窓まどから飛んとんできました。二羽にわ飛んできましたとんできました

    Then first, two white pigeons came flying in through the kitchen window.

  50. 次につぎに二に羽わのキジバトきじばとが来きました。二羽にわ来ましたきました

    Next came two turtle-doves.

  51. そしてその後そのごに、空そらの下したにいるすべての小鳥ことりたちが、さえずり、羽ばたきはばたきながら入っはいってきました。小鳥たちことりたち入ってきましたはいってきました

    And after that, all the little birds beneath the sky came in, chirping and fluttering their wings.

  52. 小鳥ことりたちは灰はいの中なかに舞い降りまいおりました。小鳥たちことりたち舞い降りましたまいおりました

    The little birds fluttered down into the ashes.

  53. そして小さなちいさなハトはとたちは頭あたまを下げさげて、つつき、つつき、拾いひろい集めあつめ始めはじめました。ハトたちはとたち集め始めましたあつめはじめました

    And the little pigeons bowed their heads and began to peck, peck, and gather them up.

  54. 他たの鳥とりたちもつつき、つつき、拾いひろい集めあつめ始めはじめました。鳥たちとりたち集め始めましたあつめはじめました

    The other birds likewise began to peck, peck, and gather them up.

  55. みんなで協力きょうりょくして、あっという間にあっというまに良いよい豆まめをすべて拾いひろい出しだして皿さらに入れいれ、灰はいだけを残しのこしました。拾い出しひろいだし残しましたのこしました

    Working together, in no time at all they picked out all the good peas and put them into the dish, leaving only the ashes behind.

  56. 一いち時間じかんが経つたつずっと前まえに作業さぎょうはすっかり終わりおわり、鳥とりたちはみな再びふたたび窓まどから飛んとんでいきました。一時間いちじかん鳥たちとりたち飛んでいきましたとんでいきました

    Long before an hour had passed, the work was entirely finished, and all the birds flew away through the window once more.

  57. アシュプッテルは、これで舞踏ぶとう会かいに行けるいけると思いおもい、大だい喜びよろこびでその皿さらを継母けいぼのもとへ持っもっていきました。舞踏会ぶとうかい大喜びだいよろこび持っていきましたもっていきました

    Ashputtel, believing that now she could go to the ball, joyfully carried the dish to her stepmother.

  58. しかし継母けいぼは言いいいました。言いましたいいました

    However, the stepmother said:

  59. 「だめ、だめ!このだらしない子こ。お前おまえには服ふくもなく、踊りおどりもできないのだから、行っいってはだめです。」だらしないできないのだ行っていって

    "No, no! You slovenly child. Since you have no clothes and cannot dance, you must not go."

  60. アシュプッテルが必死ひっしに行かいかせてほしいと頼むたのむと、継母けいぼは言いいいました。行かせいかせ言いましたいいました

    When Ashputtel desperately begged to be allowed to go, the stepmother said:

  61. 「一いち時間じかん以内いないに、灰はいの中なかからあの皿さら二つふたつ分ぶんのエンドウえんどう豆まめを拾いひろい集めあつめられたら、お前おまえも行かいかせてあげましょう。」一時間以内いちじかんいない皿二つ分さらふたつぶんエンドウ豆えんどうまめ集められあつめられ行かせてあげましょういかせてあげましょう

    "If you can gather up those two dishfuls of peas from among the ashes within one hour, I shall let you go too."

  62. こうすれば、少なくともすくなくとも少女しょうじょを諦めあきらめさせられると考えかんがえたのです。諦めさせられるあきらめさせられる考えたかんがえた

    For she thought that by doing this, she could at least force the girl to give up.

  63. そこで継母けいぼは二に皿さら分ぶんのエンドウえんどう豆まめを灰はいの中なかに振り撒きふりまきました。二皿分にさらぶんエンドウ豆えんどうまめ振り撒きましたふりまきました

    Thereupon the stepmother scattered two dishfuls of peas into the ashes.

  64. しかし、少女しょうじょは家いえの裏うらの庭にわへ出でて行きいき、前まえと同じおなじように叫びさけびました。出て行きでていき同じようおなじよう叫びましたさけびました

    However, the girl went out to the garden behind the house and cried out just as before.

  65. 「おいで、おいで、空そらを越えこえて、キジバトきじばと、ヒワひわよ、飛んとんでおいで!クロくろツグミつぐみ、ウタツグミ、陽気ようきなズアオアトリ、おいで、おいで、急いいそいでおいで!みんな来きて私わたしを助けたすけて、早くはやく!急いで、急いで!つついて、つつきて、拾いひろい集めあつめて!」飛んでとんでクロツグミくろつぐみ

    "Come, come, across the sky, turtle-doves, siskins, fly hither! Blackbirds, song thrushes, merry chaffinches, come, come, hasten hither! Everyone come and help me, quick! Hurry, hurry! Peck away, peck away, gather them up!"

  66. すると最初さいしょに二に羽わの白いしろいハトはとが台所だいどころの窓まどから入っはいってきました。二羽にわ入ってきましたはいってきました

    Then first, two white pigeons came in through the kitchen window.

  67. 次につぎに二に羽わのキジバトきじばとが来きました。二羽にわ来ましたきました

    Next came two turtle-doves.

  68. その後そのごに、空そらの下したにいるすべての小鳥ことりたちが、さえずり、跳ねはね回りまわりながら入っはいってきました。小鳥たちことりたち跳ね回りはねまわり入ってきましたはいってきました

    After that, all the little birds beneath the sky came in, chirping and hopping about.

  69. そして小鳥ことりたちは灰はいの中なかに舞い降りまいおり、小さなちいさなハトはとたちは頭あたまを下げさげて作業さぎょうに取りかかりとりかかり、つつき、つつき、拾いひろい集めあつめました。小鳥たちことりたちハトたちはとたち集めましたあつめました

    And the little birds fluttered down into the ashes, while the little pigeons bowed their heads to set to work, pecking, pecking, and gathering them up.

  70. 他たの鳥とりたちもつつき、つつき、拾いひろい集めあつめ始めはじめました。鳥たちとりたち集め始めましたあつめはじめました

    The other birds likewise began to peck, peck, and gather them up.

  71. 彼らかれらはすべての良いよい豆まめを皿さらに入れいれ、灰はいだけを残しのこしました。残しましたのこしました

    They put all the good peas into the dishes, leaving only the ashes behind.

  72. 半はん時間じかんもしないうちにすべてが終わりおわり、鳥とりたちは再びふたたび飛んとんでいきました。半時間はんじかんしない鳥たちとりたち飛んでいきましたとんでいきました

    In less than half an hour all was finished, and the birds flew away once more.

  73. それからアシュプッテルは皿さらを継母けいぼのもとへ持っもっていき、これで舞踏ぶとう会かいに行けるいけると喜んよろこんで思いおもいました。持っていきもっていき舞踏会ぶとうかい喜んでよろこんで思いましたおもいました

    Then Ashputtel carried the dishes to her stepmother, gladly thinking that now she could go to the ball.

  74. しかし継母けいぼは言いいいました。言いましたいいました

    However, the stepmother said:

  75. 「いくらやったって無駄むだですよ、お前おまえは行けいけません。服ふくもなく、踊れおどれもせず、私わたしたちに恥はじをかかせるだけです。」やったませんせず私たちわたしたちかかせる

    "No matter how hard you try, it is useless; you cannot go. You have no clothes, you cannot dance, and you would only bring shame upon us."

  76. そして、継母けいぼは二に人にんの娘むすめを連れつれて舞踏ぶとう会かいへと出かけでかけていきました。二人ににん舞踏会ぶとうかい出かけていきましたでかけていきました

    And so, the stepmother departed for the ball, taking her two daughters with her.

  77. みんなが行っおこなってしまい、家いえに誰だれもいなくなると、アシュプッテルは悲しかなしそうにハシバミはしばみの木の下このしたへ行きいき、座っすわって叫びさけびました。行ってしまいおこなってしまい座ってすわって叫びましたさけびました

    When everyone had gone and no one was left at home, Ashputtel mournfully went beneath the hazel tree, sat down, and cried out:

  78. 「揺れゆれておくれ、揺れておくれ、ハシバミはしばみの木きよ、金きんと銀ぎんを私わたしの上うえに降らふらせておくれ!」降らせふらせ

    "Shake and quiver, little hazel tree, shower gold and silver over me!"

  79. すると、彼女かのじょの友達ともだちである鳥とりが木きから飛び立ちとびたち、金きんと銀ぎんのドレスどれすと、スパンコールすぱんこうるのついた絹きぬのスリッパすりっぱを運んはこんできました。ついた運んできましたはこんできました

    Then her friend the bird flew down from the tree, bringing a dress of gold and silver, and silk slippers embroidered with spangles.

  80. 少女しょうじょはそれらを身みにつけ、姉たちあねたちの後のちを追っておって宴うたげへと向かいむかいました。向かいましたむかいました

    The girl put them on, and followed her sisters to the feast.

  81. しかし姉たちあねたちは彼女かのじょだと気づかきづかず、豪華ごうかな服ふくを着きたあまりに美しくうつくしく立派りっぱな姿すがたを見みて、どこかの見知らぬみしらぬ王女おうじょに違いちがいないと思いおもいました。彼女だかのじょだ気づかずきづかず着たきた違いないちがいない思いましたおもいました

    However, her sisters did not recognize her, and seeing her so exceedingly beautiful and splendid in her magnificent attire, they felt sure she must be some foreign princess.

  82. そして、アシュプッテルは家いえで汚れよごれ仕事しごとをしているものと思い込んおもいこんでいたので、彼女かのじょのことなど一いち度ども頭あたまに浮かびうかびませんでした。汚れ仕事よごれしごとしている思い込んでいたおもいこんでいた一度いちどませんでした

    And as they firmly believed Ashputtel was at home doing filthy drudgery, the thought of her never so much as crossed their minds.

  83. 王子おうじはすぐに彼女かのじょに近づきちかづき、手てを取っとって踊りおどりました。取ってとって踊りましたおどりました

    The prince immediately approached her, took her hand, and danced with her.

  84. そして他たの誰だれとも踊りおどりませんでした。ませんでした

    And he would dance with no one else.

  85. 王子おうじは彼女かのじょの手てを決してけっして離さはなさず、他たの誰かだれかが彼女にダンスだんすを申し込みもうしこみに来きても、「この方ほうは私わたしと踊っおどっているのです」と言いいいました。離さずはなさず誰だれか踊っているおどっている言いましたいいました

    The prince never let go of her hand, and whenever anyone else came to ask her for a dance, he would say: "This lady is dancing with me."

  86. こうして彼らかれらは夜よる遅くおそくまで踊りおどりました。踊りましたおどりました

    Thus they danced until late at night.

  87. やがて彼女かのじょは家いえへ帰りかえりたくなり、王子おうじは「お前おまえを家まで送っおくっていこう」と言いいいました。送っていこうおくっていこう言いましたいいました

    At length she wished to return home, and the prince said: "I shall accompany you home."

  88. その美しいうつくしい少女しょうじょがどこに住んすんでいるのか確かめたしかめたかったからです。住んでいるすんでいるたかった

    For he desired to ascertain where the beautiful maiden lived.

  89. しかし、彼女かのじょは王子おうじに気づかきづかれないように身みをかわし、家いえに向かっむかって走り去りはしりさりました。気づかれないようきづかれないよう向かってむかって走り去りましたはしりさりました

    However, she slipped away unnoticed by the prince, and ran off toward home.

  90. 王子おうじが後ごを追っおってくると、彼女かのじょは鳩はと小屋こやの中なかに飛び込みとびこみ、ドアどあを閉めしめました。追ってくるおってくる鳩小屋はとこや閉めましたしめました

    As the prince gave chase, she leaped into the pigeon house and shut the door.

  91. そこで王子おうじは彼女かのじょの父親ちちおやが帰っかえってくるまで待ちまち、宴うたげにいた見知らぬみしらぬ少女しょうじょが鳩はと小屋こやに隠れかくれたのだと話しはなしました。帰ってくるかえってくるいた鳩小屋はとこや隠れたかくれたのだ話しましたはなしました

    Thereupon the prince waited until her father returned, and told him that the unknown maiden from the feast had hidden in the pigeon house.

  92. しかしドアどあを壊しこわして開けあけてみると、中なかには誰だれもいませんでした。開けてみるあけてみるませんでした

    Yet when they broke open the door and looked inside, there was no one there.

  93. そして彼らかれらが家いえの中なかに戻るもどると、アシュプッテルはいつものように、汚れよごれた服ふくを着きて灰はいのそばに横たわっよこたわっており、煙突えんとつでは彼女かのじょのほの暗いほのぐらい小さなちいさなランプらんぷが灯っともっていました。のよう汚れたよごれた横たわっておりよこたわっており灯っていましたともっていました

    And when they went back into the house, Ashputtel lay as usual in her dirty clothes beside the ashes, while in the chimney her dim little oil lamp was burning.

  94. 彼女かのじょは鳩はと小屋こやを通り抜けとおりぬけてハシバミはしばみの木きまで全速力ぜんそくりょくで走りはしり、そこで美しいうつくしい衣服いふくを脱いぬいで鳥とりが持ち去もちされるよう木の下このしたに置きおき、小さなちいさな灰色はいいろの服ふくを着きて再びふたたび灰はいの中なかに横たわっよこたわっていたからでした。鳩小屋はとこや持ち去れるよう木の下もちされるようこのした横たわっていたよこたわっていたでした

    For she had run at full speed right through the pigeon house to the hazel tree, where she took off her fine garments, laid them beneath the tree for the bird to carry away, and donning her small gray dress, lay down once more among the ashes.

  95. 翌日よくじつ、再びふたたび宴うたげが開かひらかれ、父ちちも母ははも姉たちあねたちも出かけるでかけると、アシュプッテルはハシバミはしばみの木きへ行きいき、言いいいました。開かれひらかれ言いましたいいました

    On the following day, when the feast was held anew and her father, mother, and sisters had departed, Ashputtel went to the hazel tree and spoke.

  96. 「揺れゆれておくれ、揺れておくれ、ハシバミはしばみの木きよ、金きんと銀ぎんを私わたしの上うえに降らふらせておくれ!」降らせふらせ

    "Shake and quiver, little hazel tree, shower gold and silver over me!"

  97. すると鳥とりがやってきて、前日ぜんじつ着きていたものよりもさらに素晴らしいすばらしいドレスどれすを運んはこんできました。着ていたきていた運んできましたはこんできました

    Then the bird came and brought a dress even more magnificent than the one she had worn the day before.

  98. 彼女かのじょがそれを着きて舞踏ぶとう会かいに現れるあらわれると、誰だれもがその美しうつくしさに感嘆かんたんしました。舞踏会ぶとうかいしました

    When she appeared at the ball wearing it, everyone marveled at her beauty.

  99. しかし、彼女かのじょを待っまっていた王子おうじは彼女の手てを取りとり、一緒いっしょに踊りおどりました。待っていたまっていた踊りましたおどりました

    However, the prince, who was waiting for her, took her hand and danced with her.

  100. そして誰だれかが彼女かのじょにダンスだんすを申し込むもうしこむと、王子おうじは前まえと同じおなじように「この方ほうは私わたしと踊っおどっているのです」と言いいいました。同じようおなじよう踊っているおどっている言いましたいいました

    And whenever anyone asked her for a dance, the prince said as before: "This lady is dancing with me."

  101. 夜よるになると、彼女かのじょは家いえへ帰りかえりたくなりました。なりました

    When night fell, she wished to return home.

  102. 王子おうじは彼女かのじょがどの家いえに入るはいるのか確かめるたしかめるため、前まえと同じおなじように後ごを追いおいました。同じようにおなじように追いましたおいました

    The prince followed after her as before, in order to ascertain into which house she entered.

  103. しかし彼女かのじょは父親ちちおやの家いえの後ろうしろにある庭にわへ、急きゅうに身みを翻しひるがえして飛び込みとびこみました。飛び込みましたとびこみました

    However, she suddenly turned and sprang into the garden behind her father's house.

  104. この庭にわには、熟しじゅくした実みがたくさん実っみのった見事みごとな大きなおおきな洋ようナシなしの木きがありました。熟したじゅくした実ったみのった洋ナシようなしありました

    In this garden stood a magnificent, large pear tree laden with abundant ripe fruit.

  105. アシュプッテルはどこに隠れれかくれればよいか分からわからず、見つからみつからないようにその木きへ飛びとび登りのぼりました。分からずわからず見つからないようみつからないよう登りましたのぼりました

    Ashputtel did not know where she ought to hide, and so she climbed up into that tree lest she be found.

  106. そこで王子おうじは彼女かのじょを見失いみうしない、どこへ行っいったのか分からわからなくなりましたが、父親ちちおやが帰っかえってくるのを待っまって言いいいました。行ったいったなりました帰ってくるかえってくる待ってまって言いましたいいました

    Thereupon the prince lost sight of her and knew not where she had gone, but he waited for the father to return and said:

  107. 「私わたしと踊っおどった見知らぬみしらぬ貴婦人きふじんが逃げ出しにげだしてしまい、洋ようナシなしの木きに飛びとび登っのぼったに違いちがいないのです。」踊ったおどった逃げ出してしまいにげだしてしまい洋ナシようなし登ったにのぼったに違いないちがいない

    "The unknown lady who danced with me has fled, and she must surely have climbed into the pear tree."

  108. 父親ちちおやは心こころの中なかで

    The father in his heart

  109. 「アシュプッテルだろうか?」だろう

    "Could it be Ashputtel?"

  110. と考えかんがえました。考えましたかんがえました

    thought.

  111. そこで彼かれは斧おのを持っもってこさせ、木きを切り倒しきりたおしましたが、上うえには誰だれもいませんでした。持ってこさせもってこさせ切り倒しましたきりたおしましたませんでした

    Thereupon he had an axe brought and chopped down the tree, but there was no one atop it.

  112. そして彼らかれらが台所だいどころに戻るもどると、そこには灰はいの中なかにアシュプッテルが横たわっよこたわっていました。横たわっていましたよこたわっていました

    And when they returned to the kitchen, there lay Ashputtel among the ashes.

  113. 彼女かのじょは木きの反対はんたい側がわからすべり降りおり、美しいうつくしい衣服いふくをハシバミはしばみの木の鳥とりのもとへ返しかえし、それから小さなちいさな灰色はいいろの服ふくを着きていたのです。反対側はんたいがわ着ていたきていた

    For she had slipped down from the opposite side of the tree, returned her beautiful garments to the bird at the hazel tree, and then put on her small gray dress.

  114. 三さん日にち目め、父ちちと母ははと姉たちあねたちが出かけるでかけると、彼女かのじょは再びふたたび庭にわへ行きいき、言いいいました。三日目さんにちめ言いましたいいました

    On the third day, when her father, mother, and sisters had departed, she went once more to the garden and spoke.

  115. 「揺れゆれておくれ、揺れておくれ、ハシバミはしばみの木きよ、金きんと銀ぎんを私わたしの上うえに降らふらせておくれ!」降らせふらせ

    "Shake and quiver, little hazel tree, shower gold and silver over me!"

  116. すると心こころ優しいやさしい友達ともだちの鳥とりは、前まえよりもさらに素晴らしいすばらしいドレスどれすと、すべて金きんでできたスリッパすりっぱを運んはこんできました。すべて金すべてきんできた運んできましたはこんできました

    Then her kind bird friend brought a dress even more magnificent than before, and slippers fashioned entirely of gold.

  117. そのため、彼女かのじょが宴うたげに現れあらわれたとき、人々ひとびとはその美しうつくしさへの驚きおどろきで言葉ことばを失ううしなうほどでした。現れたあらわれたでした

    Therefore, when she appeared at the feast, people were so lost in wonder at her beauty as to be left speechless.

  118. 王子おうじは彼女かのじょ以外いがいの誰だれとも踊らおどらず、他たの誰かだれかが彼女にダンスだんすを申し込むもうしこむと、「この方ほうは私わたしのパートナーぱあとなあですよ」と言いいいました。彼女以外かのじょいがい踊らずおどらずか言いましたいいました

    The prince danced with no one but her, and whenever anyone else asked her for a dance, he said: "This lady is my partner."

  119. 夜よるになると、彼女かのじょは家いえへ帰りかえりたくなりました。なりました

    When night fell, she wished to return home.

  120. 王子おうじは一緒いっしょに行こいこうとし、心こころの中なかで「今度こんどは彼女かのじょを見失うみうしなうまい」と思いおもいました。行こういこう見失うまいみうしなうまい思いましたおもいました

    The prince attempted to go with her, thinking in his heart: "This time I shall not lose sight of her."

  121. しかし、彼女かのじょはまたしても身みをかわして逃げにげてしまいました。逃げてしまいましたにげてしまいました

    However, she slipped away once again and fled.

  122. あまりに急いいそいでいたため、彼女かのじょは階段かいだんの上うえに左ひだりの金きんの靴くつを落としおとしていきました。急いでいたいそいでいた落としていきましたおとしていきました

    Because she was in such great haste, she left behind her left golden shoe upon the stairs.

  123. 王子おうじはその靴くつを拾い上げひろいあげ、翌日よくじつ、父親ちちおやである国王こくおうのもとへ行きいき、言いいいました。言いましたいいました

    The prince picked up the shoe, and the next day he went to his father the king and said:

  124. 「この金きんの靴くつがぴったり合うあう方ほうを、私わたしの妻つまとして迎えむかえます。」迎えますむかえます

    "Her whose foot this golden shoe fits perfectly shall I take to be my wife."

  125. それを聞いきいて、二に人にんの姉あねは大だい喜びよろこびしました。二人ににん大喜びだいよろこびしました

    Hearing this, the two sisters rejoiced greatly.

  126. 彼女かのじょたちには美しいうつくしい足あしがあり、金きんの靴くつを履けるはけることに疑いうたがいを持っもっていなかったからです。彼女たちかのじょたち持っていもっていなかった

    For they possessed beautiful feet, and had no doubt that they could wear the golden shoe.

  127. 上うえの姉あねが最初さいしょに靴くつのある部屋へやに入りはいり、履いはいてみようとしました。履いてみようはいてみようしました

    The elder sister entered the room where the shoe was first, and attempted to try it on.

  128. 母親ははおやがそばに立ったっていました。立っていましたたっていました

    Her mother stood beside her.

  129. しかし、彼女かのじょの親指おやゆびは靴くつに入らはいらず、靴は全体ぜんたい的てきに彼女には小さちいさすぎました。入らずはいらず全体的ぜんたいてき小さすぎましたちいさすぎました

    However, her big toe could not enter the shoe, and the shoe as a whole was far too small for her.

  130. すると母親ははおやは彼女かのじょにナイフないふを渡しわたし、言いいいました。言いましたいいました

    Then the mother handed her a knife and said:

  131. 「構いかまいません、切り落としきりおとしなさい。王妃おうひになれば、指ゆびのことなど気きにしなくなりますし、歩くあるく必要ひつようもなくなりますから。」ません切り落としなさいきりおとしなさいなりますなくなります

    "Never mind, cut it off! When you become queen, you will care nothing for your toe, nor will you have any need to walk."

  132. そこで愚かおろかな娘むすめは親指おやゆびを切り落としきりおとし、そうやって靴くつに無理やりむりやり足あしを押し込みおしこみ、王子おうじのところへ行きいきました。やって行きましたいきました

    Thereupon the foolish girl cut off her toe, forced her foot into the shoe in that manner, and went to the prince.

  133. 王子おうじは彼女かのじょを自分じぶんの花嫁はなよめとして受け入れうけいれ、自分の馬うまのとなりに乗せのせて、家いえへ向かっむかって走り去りはしりさりました。向かってむかって走り去りましたはしりさりました

    The prince accepted her as his bride, placed her beside him upon his horse, and rode away toward home.

  134. しかし、家いえへ向かうむかう途中とちゅうで、彼らかれらはアシュプッテルが植えうえたハシバミはしばみの木きのそばを通らとおらなければなりませんでした。植えたうえたませんでした

    However, on the way toward home, they had to pass by the hazel tree that Ashputtel had planted.

  135. そして枝えだの上うえでは、小さなちいさなハトはとが座っすわって歌っうたっていました。座ってすわって歌っていましたうたっていました

    And atop a branch, a little pigeon sat and sang:

  136. 「戻れもどれ、戻れ!靴くつをごらん!靴は小さちいさすぎて、あなたのためで作らつくられていない!王子おうじ様さま、王子様、もう一度もういちど花嫁はなよめを探しさがして!あなたのとなりに座っすわっているのは本物ほんものではない!」小さすぎちいさすぎ作られていないつくられていない王子様おうじさま座っているすわっているはない

    "Turn back, turn back! Look at the shoe! The shoe is too small and was not made for you! Prince, prince, search for your bride anew! The one sitting beside you is not the true!"

  137. そこで王子おうじは馬うまから降りおりて彼女かのじょの足あしを見みました。見ましたみました

    Thereupon the prince dismounted from his horse and looked at her foot.

  138. すると、そこから流れるながれる血ちを見みて、彼女かのじょがどんな欺きあざむきを行っおこなったかを知りしりました。行ったおこなった知りましたしりました

    Then, seeing the blood flowing from it, he realized what manner of deceit she had practiced.

  139. そこで王子おうじは馬うまの向きむきを変えかえ、偽にせの花嫁はなよめを家いえへ連れ戻しつれもどして言いいいました。言いましたいいました

    Thereupon the prince turned his horse about, brought the false bride back to her home, and said:

  140. 「これは正しいただしい花嫁はなよめではありません。もう一いち人にんの姉あねに靴くつを試さためさせなさい。」ません一人いちにん試させなさいためさせなさい

    "This is not the true bride. Let the other sister try the shoe."

  141. そこで下したの姉あねが部屋へやに入りはいり、足あしのほとんどを靴くつに入れいれましたが、かかとが大きおおきすぎて入りませんでした。入れましたいれました大きすぎおおきすぎませんでした

    Thereupon the younger sister entered the room and put most of her foot into the shoe, but her heel was too large and would not go in.

  142. しかし母親ははおやは血ちが出るでるまでそれを押し込みおしこみ、彼女かのじょを王子おうじのところへ連れつれていきました。連れていきましたつれていきました

    However, the mother forced it in until blood came forth, and brought her to the prince.

  143. 王子おうじは彼女かのじょを花嫁はなよめとして馬うまのとなりに乗せのせ、走り去りはしりさりました。走り去りましたはしりさりました

    The prince placed her beside him upon his horse as his bride and rode away.

  144. しかし、彼らかれらがハシバミはしばみの木きに差し掛かるさしかかると、小さなちいさなハトはとはまだそこに座っすわっており、歌いうたいました。座っておりすわっており歌いましたうたいました

    However, when they reached the hazel tree, the little pigeon was still sitting there and sang.

  145. 「戻れもどれ、戻れ!靴くつをごらん!靴は小さちいさすぎて、あなたのためで作らつくられていない!王子おうじ様さま、王子様、もう一度もういちど花嫁はなよめを探しさがして!あなたのとなりに座っすわっているのは本物ほんものではない!」小さすぎちいさすぎ作られていないつくられていない王子様おうじさま座っているすわっているはない

    "Turn back, turn back! Look at the shoe! The shoe is too small and was not made for you! Prince, prince, search for your bride anew! The one sitting beside you is not the true!"

  146. そこで王子おうじは下したを見みました。見ましたみました

    Thereupon the prince looked down.

  147. すると靴くつから血ちがひどく流れ出ながれでていて、彼女かのじょの白いしろい靴下くつしたがすっかり赤くあかくなっているのが見えみえました。流れ出ていながれでていなっている見えましたみえました

    Then he saw that blood was streaming terribly from the shoe, and that her white stocking was entirely red.

  148. そこで彼かれは馬うまの向きむきを変えかえ、彼女かのじょもまた連れ戻しつれもどしました。連れ戻しましたつれもどしました

    Thereupon he turned his horse about and brought her back as well.

  149. 「これは本物ほんものの花嫁はなよめではありません」と王子おうじは父親ちちおやに言いいいました。ません言いましたいいました

    "This is not the true bride," said the prince to the father.

  150. 「他たに娘むすめはいませんか?」ません

    "Have you no other daughters?"

  151. 「いいえ」と父親ちちおやは言いいいました。言いましたいいました

    "No," said the father.

  152. 「ここには、亡くなっなくなった最初さいしょの妻つまの子こで、小さなちいさな汚いきたないアシュプッテルがいるだけです。あの子が花嫁はなよめであるはずがありません。」亡くなったなくなったません

    "There is only little dirty Ashputtel here, the child of my deceased first wife; she cannot possibly be the bride."

  153. 王子おうじは彼女かのじょを連れつれてくるよう言いいいました。連れてくるようつれてくるよう言いましたいいました

    The prince bade them bring her forth.

  154. しかし母親ははおやは言いいいました。言いましたいいました

    However, the mother said:

  155. 「いいえ、いいえ、あの子こはあまりに汚いきたないですから、姿すがたを見せるみせることさえできません。」ません

    "No, no; that child is far too filthy, she cannot so much as show her face."

  156. けれども王子おうじはどうしても彼女かのじょを連れつれてこさせようとしました。連れてこさせようつれてこさせようしました

    Yet the prince insisted by all means that she be brought forth.

  157. 少女しょうじょはまず顔かおと手てを洗いあらい、中なかへ入っはいって王子おうじにお辞儀おじぎをしました。入ってはいってしました

    The girl first washed her face and hands, came inside, and curtsied to the prince.

  158. 王子おうじは彼女かのじょに金きんの靴くつを差し出しさしだしました。差し出しましたさしだしました

    The prince held out the golden shoe to her.

  159. すると彼女かのじょは左足ひだりあしから不格好ぶかっこうな靴くつを脱ぎぬぎ、金きんの靴を履きはきました。履きましたはきました

    Then she slipped off the clumsy shoe from her left foot and put on the golden shoe.

  160. そしてそれは、まるで彼女かのじょのために作らつくられたかのようにぴったりと合いあいました。作られたつくられたのよう合いましたあいました

    And it fit her perfectly, as though it had been made for her very self.

  161. そして王子おうじが近づいちかづいて彼女かのじょの顔かおを見るみると、彼女だとわかり、「この人ひとこそが正しいただしい花嫁はなよめだ」と言いいいました。彼女だかのじょだ花嫁だはなよめだ言いましたいいました

    And when the prince drew near and looked upon her face, he recognized her and said: "This indeed is the true bride."

  162. しかし、王子おうじがアシュプッテルを馬うまに乗せのせて走り去るはしりさると、母親ははおやと二に人にんの姉あねは恐れおそれおののき、怒りいかりで顔かおを蒼白そうはくにしました。二人ににんしました

    However, as the prince placed Ashputtel upon his horse and rode away, the mother and the two sisters trembled with fear, turning pale with rage.

  163. そして彼らかれらがハシバミはしばみの木きに差し掛かるさしかかると、白いしろいハトはとが歌いうたいました。歌いましたうたいました

    And when they reached the hazel tree, the white pigeon sang:

  164. 「おうちへ、おうちへ!靴くつをごらん!プリンセスぷりんせす、靴はあなたのために作らつくられた!王子おうじ様さま、王子様、花嫁はなよめを家いえへ連れつれて行っいって!あなたのとなりに座っすわっている人ひとこそが本物ほんものだ!」おうち作られたつくられた王子様おうじさま連れて行ってつれていって座っているすわっている本物だほんものだ

    "Home, home! Look at the shoe! Princess, the shoe was made for you! Prince, prince, take your bride home true! The one sitting beside you is indeed the true!"

  165. そしてハトはとは歌うたを歌いうたい終えるおえると飛んとんできて、彼女かのじょの右肩みぎかたに止まりとまり、そうして一緒いっしょに家いえへと向かいむかいました。歌い終えるうたいおえる飛んできとんでき向かいましたむかいました

    And when the pigeon finished singing its song, it flew down and perched upon her right shoulder, and thus together they went home.